毒を食らわば皿まで

アダルトチルドレン(AC)・吃音症・社交不安障害(SAD)・依存症・うつ病の方、また、心を病むすべて方へ

病み垢の教科書

はじめに


私、たかむらも病み垢界隈に生息し、早一年半が過ぎようとしています。

このたびは、その一年半の知見をもとに「病み垢の教科書」と題し、「病み垢とは何か?」「病み垢の特徴」「なぜ、病み垢は生まれたのか?」「病み垢をするメリット・デメリット」「病み垢でトラブルに巻き込まれないための留意点」について書きました。

これから病み垢を始めようと思っている人、今、病み垢をしている人、そうでなくても病み垢に興味がある人に読んでいただけたら幸いです。

なお、このたびのエントリはツイッターをしている人でなければわからない専門用語がたくさん出てきます。専門用語にはリンクを貼っております。そちらを参照ください。

 

 

病み垢とは?

 

病み垢の定義


おそらく、病み垢の一般的な定義はありません。
ですので、ここでは病み垢の定義を
生きづらさを抱える人が、ありのままの思いを書くために作られたツイッターアカウント」とします。
正式名称は「病みアカウント」。それを略して「病み垢(アカ)」と呼ばれています。

 

病み垢の特徴


以下、病み垢の特徴です。

・精神障害者・発達障害者の割合が高い。
・精神障害・発達障害でなくても、生きづらさを抱えている人が多い。
・ネガティブなツイートが多い。
・ほとんどが匿名。
・中・高校生~五十代と年齢層が幅広い。
・男女比率は女性が多い印象。
・病み垢同士でつながることが多い。
・同じ障害や生きづらさを抱える者同士でつながることがが多い。
・リアルの友人・知人へ病み垢の存在を教える人は少ない。

 

なぜ、病み垢は生まれたのか?


あくまで私の仮説です。

社会には、生きづらさを抱えた人がたくさんいます。ひとえに生きづらさと言っても、その要因は様々です。一つだけ言えることは、各々がオンリーワンの生きづらさを抱えているということです。

生きづらさを抱えた人の代表格とも言えるのが障害者です。その中でも精神障害・発達障害は、目に見えない障害であることから、社会で十分な認知や理解を得られていないのが現状です。

また、「ネガティブはできるだけ排除し、ポジティブでいることが望ましい」、そのような同調圧力が少なからず社会にあり、それが生きづらさをありのまま話すことの阻害要因になっているようにも思えます。

このような社会で、生きづらさが理解されることは少なく、また生きづらさを抱える人がありのままを話す「人」も「場」も限られています。

そのような背景から、生きづらさを抱える人たちの間に二つのニーズが生まれました。
一つは、生きづらさをありのまま話す「人」と「場」を求めるニーズ。もう一つは、自分の抱える生きづらさをわかってもらいたいというニーズです。

そのような最中、インターネットの発展に伴いツイッターという日本人に親和性の高いSNSツールが登場しました。

ツイッターの登場は、生きづらさを抱える人たちのニーズを満たしました。
まず、ありのまま話す「場」を求めるニーズを満たしました。それにより登場したのが病み垢です。
次に、病み垢同士がつながることで、ありのまま話す「人」を求めるニーズを満たし、互いに理解・共感し合うことで、自分の生きづらさをわかってもらいたいというニーズをも満たしました。

二つのニーズが生まれ、そのニーズを一つのツールが満たした。
その結果生まれたのが病み垢であり、病み垢同士のつながりなのだと私は思っています。

 

病み垢をするメリット・デメリット

 

病み垢をするメリット


病み垢をするメリットは三つあります。

1、ありのままの思いを書くことができる

(匿名にする、鍵垢にする、リアルの友人・知人に病み垢の存在を教えないなど対策を取れば)リアルでつながりのある誰に知られることなく、ありのままの思いを書くことができます。
また病み垢は同じ障害や生きづらさを抱える者同士が集う場であることから、ネガティブなことであっても、それを受け入れる懐の深さがあります。


2、同じ障害や生きづらさを抱えた人たちと知り合える

リアルで同じ障害や生きづらさを抱えた人とつながる機会はなかなかありません。
また、リアルではちょっと…という人も少なくないでしょう。
ツイッターならば検索機能、おすすめユーザー機能を使い、匿名、かつ非リアルで同じ障害や生きづらさを抱えた人たちと知り合うことができます。


3、同じ障害や生きづらさを抱えた人たちとつながれる

同じ障害や生きづらさを抱えた人たちとつながり、コミュニケーションを図ることで「孤独から解放される」「互いに理解し、共感することができる」「共に励まし合うことができる」「情報交換・情報共有ができる」などのメリットがあります。

 

病み垢をするデメリット


病み垢をするデメリットは、三つあります。


1、依存の恐れ

ツイッターに過度に依存してしまうことです。
1日中ツイッターばかりしている人のことをツイッター界隈ではツイ廃と呼びます。

病み垢では、リアルで吐けないようなネガティブなことを吐き出すことができますし、先ほど書いたようにそのようなものを受け入れる懐の深さもあります。このような環境は居心地が良い反面、依存してしまう危険性もはらんでいます


2、トラブルに巻き込まれる恐れ

病み垢は、ツイッターというツールを介して行なわれるバーチャルなコミュニケーションとはいえ、あなたが見つめる画面の向こうにいるのは、あなたと同じ人間です。
つまりバーチャルといえど人と人との関わり合いであり、その点においてリアルの人間社会と何だ変わりはありません。
ですので、当然人間関係のトラブルも生じます。

トラブルではありませんが、トラブルに発展しやすいものとしてクソリプが送られてくる、エアリプが流れてくる、マウンティングされる、巻き込みリプをくらうなどがあります。
また、ケンカ誹謗中傷を受ける、ネットスト―キング出会い厨個人情報をネットに晒されるなどのトラブルもあります。

出会い厨についてだけ少し書きます。
出会い厨の被害が多いのは圧倒的に女性です。中には福祉の名を語り近づいてくる者、お金や物を無心する者もいると聞きます。心が弱っている女性はとくにターゲットにされやすいようです。女性は気をつけてください。


日本のツイッターユーザー数は4,000万人(2016年9月30日現在)を数えます。
東京都の人口が1,363万人(2016年10月1日現在)ですから、その数は東京の人口の三倍にあたります。
これだけ多くの人がツイッターを使っているということは、当然そこは様々な価値観を持つ人で溢れています。

精神障害や発達障害へ理解がある人もいれば、まったく理解がない人もいます。中には精神障害者・発達障害者へ暴力ともいえる物言いをする人もいることでしょう。

同じ障害を持つ人同士であっても、仕事をせず療養している人、障害者年金・生活保護を受けている人を好ましく思わない人もいます。精神障害者・発達障害者はこうあるべきと個人の理想を押しつけ、その基準にそぐわない人を誹謗中傷する人も見受けられます。また、その人のすべてを知っているわけでもないのに、断片的な情報で否定してくる人もいます。

何が言いたいのかと言うと、ツイッターには様々な価値観を持つ人がいるため、自分に否がなくてもトラブルに巻き込まれることもあるということです。


3、イネイブリング

イネイブリングとは、依存している人を手助けすることで、かえってその克服を妨げてしまう行為を言います。そのような行為をする人のことをイネイブラーと言います。

具体的には、ギャンブル依存症者へギャンブルするためのお金を渡してしまう行為をイネイブリングと言い、イネイブリングをする人をイネイブラーと言います。

何が言いたいのかと言うと、あなたがかけるその優しい一言が、イネイブリングになっている可能性もありうるということです。

matome.naver.jp

 

とある国に「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ」ということわざがあります。「人に魚を与えると一日で食べてしまう。しかし、人に魚の釣り方を教えれば一生食べて行くことができる。」という意味の言葉です。

優しい言葉をかけること、すなわち魚を与えることがダメだと言っているのではありません。魚を与えることが良いか、それとも魚の釣り方を教えることが良いか、それはケースバイケースです。

しかし、あなたのその優しさが「その人の依存を助長していないか?」「本当にその人のためになっているのか?」、ときおり考えてみる必要があるのではないでしょうか?

 

 

病み垢でトラブルに巻き込まれないための留意点

 

病み垢でトラブルに巻き込まれないための留意点は、以下の六つです。
(あくまでトラブルに巻き込まれないことに重きをおいた内容になっています)


1、個人情報を晒さない


氏名・住所・電話番号・メールアドレス・勤務先は決して晒してはいけません。
また画像や動画をアップする際、個人情報を知られてしまう可能性のあるのもが写っていないか最大限注意を払いましょう。
もし個人情報を知られた場合、トラブルになった際にネットに晒されてしまう危険性があります。


2、アカウントに鍵をかける

鍵がかけられたアカウントのことを、鍵垢といいます。鍵アカウントの略です。

アカウントに鍵をかけていない場合、誰でも自由にあなたをフォローすることができますし、あなたのツイートを見ることもできます。
しかしアカウントに鍵をかけておくと、あなたの許可がないかぎり勝手にフォローすることができません。また、あなたのフォロワー以外ツイートを見ることもできません。


アカウントに鍵をかけることによって、あなたにとって好ましくない相手とつながる可能性を抑えることができます。


3、フォロワー数を増やしすぎない

フォロワー数が多いほど、トラブルに巻き込まれる可能性は高くなります。これは病み垢というよりも、ツイッターの鉄則です。

フォロワーとはあなたをフォローしている人のことで、あなたのツイートを見ることができます。フォロワー数が多いということは、様々な価値観を持つ多くの人が、あなたのツイートを見ていることになります。

あなたのツイートを見ている人の数が多ければ多いほど、リプライRTいいねなどの反響が、良くも悪くも増えます。あなたに肯定的な反応を示してくれる人が増える一方で、あなたに否定的な反応を示す人も増えるでしょう。

フォロワー数が多すぎた結果、トラブルに巻き込まれた人を私も見たことがあります。
その人は、フォロワー数が多くなり一人一人への対応がおざなりになった結果、その人に肯定的な態度を示していた人が次第にアンチと化し、トラブルに発展しました。そして、その人は病み垢を止めざる得なくなってしまいました。

一人で対応できるフォロワーの数には限りがあります。もらったらリプライへの返信が億劫に感じるようになったら、フォロワー数が多い目安かもしれません。

各々ツイッターをする目的は違います。ですので、フォロワー数を増やすこと自体否定はしません。しかし、フォロワー数が増えることのリスクは理解しておくべきです。そのリスクを考慮せず安易にフォロワー数を増やすのはトラブルの元となります。
「病み垢をする目的は何か?」「病み垢に何を求めているのか?」を今一度問い、「それを達成するにあたりフォロワー数は果たして必要なのか?」あらためて考えてみる必要があるのではないでしょうか?


4、ミュート、リムーブ、ブロックを活用する

ツイッターをしていると、あなたが不快に感じるツイートがタイムラインに流れてくることがあります。また、先ほど書いたようにトラブルに巻き込まれることもあります。
このような場合、ミュートリムーブブロックを活用し、相手とほどよい距離を取りましょう。


5、他人から自分がどう見えるかを意識する

憲法で言論の自由、表現の自由が認められています。それにあなたのアカウントは、あなたのメディアです。ですので、あなたが何を書こうが、それはあなたの自由です。
しかし一方で、叩かれやすい発言とそうでない発言があることも事実です。
トラブルに巻き込まれないためには、あなたのツイートが他人の目にどう映るか?叩かれやすいツイートか、そうでないか?という視点もある程度は必要だと私は思います。


6、ツイキャスをやりすぎない


ツイキャス
とは、個人でライブ映像配信・音声配信ができるサービスをいいます。
わかりやす言うと、個人配信TV・ラジオです。コラボすることで複数人同時配信することもできます。

あくまで私の主観ですが、ツイキャスの配信頻度が高い人ほどトラブルに巻き込まれる可能性が高いように感じています。

 

最後に


以前、主治医に「病み垢をすることは望ましいか?望ましくないか?」聞いてみたことがあります。主治医がどれくらい病み垢のことを知っているかわかりませんが、主治医の答えは「あまりオススメはしない」でした。おそらく、他の精神科医も同じことを言うでしょう。

私は闘病中、SNSをしていませんでした。私が病み垢始めたのは、ほとんどの障害が寛解・回復した後、内省をする目的で始めました。
私は、闘病中にSNSをしていなくて良かったと思っています。それは私に依存症歴があることから、SNS依存に陥り、障害の克服の妨げになっていた可能性があったためです。

しかし、病み垢同士のつながりはとても温かいものです。バーチャルな自助グループとでも言えばいいのでしょうか。私自身これまで心温まる光景を幾度も見てきましたし、このコミュニティのおかげで今の自分があると言っている人も数多く見ています。

ですので私は「SNSとの距離」「フォロー・フォロワーとの距離」、そして「使い方」、この三つを誤らなければ、病み垢をすることがプラスに働くこともあると、いち当事者として思います。

病み垢をしていらっしゃる人たちが、少しでも生きづらさを解消できることを願いつつ、筆を置かせていただきます。