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精神障害者雇用の現状 (ハローワーク「平成27年度・障害者の職業紹介状況等」より)

はじめに


平成30年4月1日、「障害者の雇用の促進等に関する法律」(以下 障害者雇用促進法)が改正され、精神障害者も法定雇用率の算定基礎対象へ加わることとなる。
それを踏まえて「精神障害者の雇用・就労」をテーマに、いくつかに分けてエントリーを書こうと思う。
このたびは、第二段として『精神障害者雇用の現状 (ハローワーク「平成27年度・障害者の職業紹介状況等」より)』と題して、ハローワーク「平成27年度・障害者の職業紹介状況等」を基に、精神障害者雇用の現状をわかりやすく伝えたい。
詳細なデータものせているが、「結論から述べれば」もしくは太線とまとめだけ読めばおおむねわかるように書いたつもりだ。
ちなみに第三段は平成28年4月1日および平成30年4月1日の障害者雇用促進法の改正点についてお伝えするつもりだ。

 

結論から述べれば


<障害者雇用全体>

障害者雇用全体では、新規求職申込件数は9年連続の増加、有効求職者数・就職件数・就職率は6~8年連続増加。障害者雇用の伸びは堅調。

障害者雇用は有効求人倍率の影響を受けている可能性がある。

<精神障害者雇用>

新規求職申込件数・有効求職者数・就職件数の伸び率が対前年比約10%増と、精神障害者は大きな伸びを示している。

障害者全体の対前年比増加件数に占める精神障害者の対前年比増加件数の割合は、新規求職申込件数で89%、有効求職者数で75%、就職件数で69%と、障害者全体の伸びに精神障害者は大きく貢献している。

障害者全体に占める精神障害者の割合は、、新規求職申込件数で43%、有効求職者数で38.5%、就職件数で42.6%と、精神障害者は障害者全体の中で存在感を増している。


ハローワーク「平成27年度・障害者の職業紹介状況等」からみる精神障害者雇用の現状

 

ハローワークにおける障害者の職業紹介状況

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まず、障害者全体について見て行く。
ここでいう障害者とは「身体障害者」「知的障害者」「精神障害者」「その他の障害者」を指す。
ちなみに「その他の障害者」とは、「発達障害者」「高次脳機能障害者」「難治性疾患患者」等である。


■新規求職申込件数

新規求職申込件数とは、期間中に新たに受け付けた求職申込みの件数である。

全体
平成27年の新規求職申込件数は187,198件。前年と比べて7,976件、4.5%増加している。平成18年~27年まで9年間一貫して増加し、1.81倍の伸びを示している。

身体障害者
63,403件。前年と比べて△1,862件、△2.9%減少している。
3年連続の減少。


知的障害者
33,410件。前年と比べて1,097件、3.4%増加している。
9年間連続の増加。

精神障害者
80,579件。前年と比べて7,097件、9.7%増加している。
9年間連続の増加。

その他の障害者
9,806件。前年と比べて1,644件、20.1%増加している。
9年間連続の増加。


■有効求職者数
有効求職者数とは、前年から繰り越された求職者数とその年の新規求職者数の合計ハローワークに登録されている求職者数

全体
平成27年の有効求職者数は231,066人。前年と比べて12,153人、5.6%増加している。8年連続の増加。平成18年~27年の9年間で1.52倍の伸びを示している。

身体障害者
91,939人。前年と比べて402人、0.4%増加している。

知的障害者
41,803人。前年と比べて1,259人、3.1%増加している。
7年連続の増加

精神障害者
88,857人。前年と比べて9,061人、11.4%増加している。
9年連続の増加。

その他の障害者
8,467人。前年と比べて1,431人、20.3%増加している。
9年連続の増加。


■就職件数

就職件数とは、有効求職者がハローワークの紹介により就職したことを確認した件数である。

全体
平成27年の就職件数は90,191件。前年と比べて5,589件、6.6%増加している。7年連続の増加。平成18年~27年の9年間で約2.05倍の伸びを示している。

身体障害者
28,003件。前年と比べて△172件、△0.6%減少している。
2年連続の減少。

知的障害者
19,958件。前年と比べて1,235件、6.6%増加している。
6年連続の増加。

精神障害者
38,396件。前年と比べて3,858件、11.2%増加している。
9年連続の増加。

その他の障害者
3,834件。前年と比べて668件、21.1%増加している。
9年連続の増加。


■就職率

就職件数を新規求職申込件数で除した割合である。

全体
平成27年の就職率は48.2%。前年と比べて1.0%増加している。6年連続の増加。
平成18年~27年の9年間で約1.13倍の伸びを示している。

身体障害者
44.2%。前年と比べて1.0%増加している。
4年連続の増加。

知的障害者
59.7%。前年と比べて1.8%増加している。
6年連続の増加。

精神障害者
47.7%。前年と比べて0.7%増加している。
6年連続の増加。

その他の障害者
39.1%。前年と比べて0.3%増加している。
4年連続の増加。

 

<障害者雇用全体のまとめ>

障害者雇用全体
新規求職申込件数は9年連続の増加有効求職者数・就職件数・就職率は6~8年連続増加

身体障害者
新規求職申込件数・就職件数は2~3連続の減少。有効求職者数は増減なし、就職率は4年連続の増加。

知的障害者
新規求職申込件数9年連続の増加。有効求職者数・就職件数・就職率は6~7年連続増加。

精神障害者
新規求職申込件数・有効求職者数・就職件数は9年連続の増加就職率は6年連続増加

その他の障害者
新規求職申込件数・有効求職者数・就職件数は9年連続の増加。就職率は4年連続増加。
※その他の障害者の著しい増加は、昨今「発達障害」の認知が高まったためと筆者は認識している。

 

 

有効求人倍率と障害者雇用


ここで有効求人倍率は障害者雇用に影響を及ぼすかについて見て行きたい。

有効求人倍率とは、有効求職者数に対する有効求人数の割合で、雇用動向を示す重要指標のひとつ。景気とほぼ一致して動くので、景気動向指数の一致指数となっている。厚生労働省が全国のハローワークの求職者数、求人数をもとに算出し、「職業安定業務統計(一般職業紹介状況)」で毎月発表している。有効求人数を有効求職者数で割って算出し、倍率が1を上回れば人を探している企業が多く、下回れば仕事を探している人が多いことを示す。(初めてでもわかりやすい用語集|SMBC日興証券

より)

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一般職業紹介状況(職業安定業務統計)より

shikiho.jp


厚生労働省の調査によると、有効求人倍率は2009年から増加の一途をたどり、2017年3月時点1.45倍とバブル期のピークに迫る高水準で推移している。
有効求人倍率が上昇する前と上昇を始めたときで、障害者雇用の新規求職申込件数と就職件数の伸び率を比較してみる。

有効求人倍率が上昇する前、H18(2006年)~H21(2009年)までの新規求職申込件数の伸び率は121%就職件数の伸び率は103%

一方、有効求人倍率が上昇を始めたH21(2009年)~H27(2015年)の新規求職申込件数の伸び率は149%就職件数の伸び率は199%である。

有効給仕倍率の上昇に比例して障害者雇用の新規求職申込件数および就職件数も伸びていることから障害者雇用は有効求人倍率の影響を受けている可能性が高いといって良いだろう。
今後さらに有効求人倍率が上昇する可能性もあるが、障害者雇用を望む者にとって今がチャンスといえるのではないだろうか。

 

精神障害者の職業紹介情報

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次は、精神障害者のみをピックアップして見て行く。


■新規求職申込件数

全体
187,198件。前年と比べて7,976件、4.5%増加している。

精神障害者
80,579件。前年と比べて7,097件、9.7%増加している。

障害者全体の新規求職申込件数に占める精神障害者の新規求職申込件数の割合は43%
障害者全体の対前年比増加件数に占める精神障害者の対前年比増加件数の割合は89%
精神障害者の新規求職申込件数の増加が、障害者全体の新規求職申込件数増加をけん引している。


■有効求職者数

全体
231,066人。前年と比べて12,153人、5.6%増加している。

精神障害者
88,857人。前年と比べて9,061人、11.4%増加している。

障害者全体の有効求職者数に占める精神障害者の有効求職者数の割合は38%
障害者全体の対前年比増加件数に占める精神障害者の対前年比増加件数の割合は75%
精神障害者の有効求職者数の増加が、障害者全体の有効求職者数増加をけん引している。


■就職件数

全体
90,191件。前年と比べて5,589件、6.6%増加している。

精神障害
38,396件。前年と比べて3,858件、11.2%増加している。

障害者全体の就職件数に占める精神障害者の就職件数の割合は43%
障害者全体の対前年比増加件数に占める精神障害者の対前年比増加件数の割合は69%
精神障害者の就職件数の増加が、障害者全体の就職件数増加をけん引している。


■就職率

全体
平成27年の就職率は48.2%。前年と比べて1.0%増加している。

精神障害
平成27年の就職率は47.7%前年と比べて0.7%増加している。

精神障害者の就職率は、障害者全体とおおむね同水準である。


■伸び率

新規求職申込件数
 全体:4.5%
 身体障害者:△2.9%
 知的障害者:3.4%
 精神障害者:9.7%
 その他の障害者:20.1%

有効求職者数
 全体:5.6%
 身体障害者:0.4%
 知的障害者:3.1%
 精神障害者:11.4%
 その他の障害者:20.3%

就職件数
 全体:6.6%
 身体障害者:0.6%
 知的障害者:6.6%
 精神障害者:11.2%
 その他の障害者:21.1%

就職率
 全体:1.0%
 身体障害者:1.0%
 知的障害者:1.8%
 精神障害者:0.7%
 その他の障害者:0.3%


■障害者全体に占める精神障害者の構成比

障害者全体の新規求職申込件数に占める各障害者の新規求職申込件数の割合
精神障害者43%、身体障害者は33.9%、知的障害者は17.8%、その他の障害者は5.2%の順に高く、精神障害者の割合が最も高い。

障害者全体の有効求職者数に占める精神障害者の有効求職者数の割合
身体障害者39.8%、精神障害者38.5%、知的障害者18.1%、その他の障害者3.7%の順に高く、精神障害者の割合は身体障害者に次いで2番目に高い。

障害者全体の就職件数に占める精神障害者の就職件数の割合
精神障害者42.6%、身体障害者31%、知的障害者22.1%、その他の障害者4.3%の順に高く、精神障害者の割合が最も高い。

 

<精神障害者雇用のまとめ>

 
新規求職申込件数・有効求職者数・就職件数の伸び率が対前年比約10%増と、精神障害者は大きな伸びを示している

障害者全体の対前年比増加件数に占める精神障害者の対前年比増加件数の割合は、新規求職申込件数で89%有効求職者数で75%就職件数で69%と、障害者全体の伸びに精神障害者は大きく貢献している。

障害者全体に占める精神障害者の割合は、、新規求職申込件数で43%有効求職者数で38.5%就職件数で42.6%と、精神障害者は障害者全体の中で存在感を増している

 

 

 

産業別就職状況(平成27年度)

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以下、5%以上の産業のみ記載


■ハローワーク全体における産業別就職状況(障害者を含む)

「医療・福祉(22.2%)」 → 「製造業(16.6%)」 → 「卸、小売業(13.6%)」 → 「サービス業(11.6%)」 → 「運輸、郵便業(5.9%)」 → 「公務・その他(5.8%)」 → 「建設業(5.8%)」 


■障害者全体における産業別就職状況

「医療・福祉(37.5%)」 → 「製造業(13.2%)」 → 「卸、小売業(12.8%)」 → 「サービス業(10.1%)」 


■精神障害者における産業別就職状況

「医療・福祉(42.6%)」 → 「卸、小売業(12.7%)」 → 「製造業(11.1%)」 → 「サービス業(9.6%)」

 

 

職業別の就職状況(平成27年度)

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以下、5%以上の職業のみ記載


■ハローワーク全体における職業別就職状況(障害者を含む)

「事務的職業(21%)」 → 「サービスの職業(18.2%)」 → 「生産工程の職業(14%)」 → 「運搬・清掃・包装等の職業(13.8%)」 → 「専門的・技術的職業(13.4%)」 → 「販売の職業(7.3%)」 → 「輸送・機械運転の職業(6%)」 


■障害者全体における職業別就職状況

「運搬・清掃・包装等の職業(34.8%)」 → 「事務的職業(20.5%)」 → 「生産工程の職業(12.9%)」 → 「サービスの職業(12%)」  → 「専門的・技術的職業(6.5%)」 → 「販売の職業(5.2%)」 


■精神障害者における職業別就職状況

「運搬・清掃・包装等の職業(35.8%)」 → 「事務的職業(21.7%)」 → 「生産工程の職業(12.2%)」 → 「サービスの職業(11.5%)」 → 「専門的・技術的職業(6.2%)」 → 「販売の職業(5.3%)」 

 

 

都道府県別の就職状況(平成27年度)

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■都道府県別の就職件数

就職件数で見ると、多いのはやはり大都市圏である。


■都道府県別の就職率

就職率が60%越え高い都道府県「岩手(61.6%)」「冨山(69.6%)」「石川(64.6%)」「福井(67.5%)」「島根(62.8%)」「岡山(62%)」「徳島(62.9%)」「沖縄(62.8%)」の8つ。

平成27年の就職率48.2%を上回った都道府県の数は、48都道府県中43都道府県

平成27年の就職率48.2%を下回った都道府県は、「埼玉(39.6%)」「千葉(40.7%)」「東京(32%)」「神奈川(34.5%)」「大阪(43.3%)」と大都市圏に目立った。

 

精神障害者枠で働く―雇用のカギ・就労のコツ・支援のツボ

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ソーシャルワークによる精神障害者の就労支援―参加と協働の地域生活支援―

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本書を読まずに障害者を雇用してはいけません!

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