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毒を食らわば皿まで

アダルトチルドレン(AC)・吃音症・社交不安障害(SAD)・依存症・うつ病の方、また、心を病むすべて方へ

なぜ、私はうつ病になったのか? (うつ病闘病記 第1回)

はじめに


私は4年前に、うつ病になった。
発病から寛解まで2年半、寛解から社会復帰まで1年、計3年半。

いち当事者として、その時の経験を闘病記として書きとめている。
この闘病記がうつ病当事者・それをサポートする人、一人でも多くの人に役立てば幸いである。


うつ病闘病記第1回。
このたびは「なぜ、私はうつ病になったのか?」と題して、うつ病になる前~うつ病を発病するまでを書いた。

私がうつ病になった経緯を「生物―心理―社会モデル(bio-psycho-social model)」というフレームワークを用いて説明している。

 

第1回:なぜ、私はうつ病になったのか?←今、ココ
第2回:うつ病になって私がまずしたこと、その効果は?
第3回:うつ病との闘い
第4回:うつ病から社会復帰へ向けて
第5回:うつ病闘病記まとめ

 

私がうつ病になるまで

 

T社への転職
 A社(製造業)を辞め半年、T社(製造業)への転職が決まった。

T社では前職のスキル・経験をかわれ、 主任待遇でS部SK課へ配属された。
配属されたS部は、常務直轄のT社の生産機能の中枢。後に工場長のポストが確約されるエリート部署だ。もちろんボスは常務だ。

S部にはSK課とGK課がある。
SK課はF課長、私の2名。GK課はW課長、Hさん、M君の3名。
計6名の部署だ。

私はそこで生産計画の立案・統制、外注管理を主に任せられた。

前職のA社は、いい会社だった。
新工場の立ち上げに携わり、生産体制を整えた後、現場主任、生産管理、工場長を歴任した。
ほとんどを任され、結果さえ出せば口出しはされなかった。責任は重いが、その分権限があった。人間関係も良好だった。
残業は月100時間を下回ることのないハードワークだったが、私はむしろやりがいを感じていた。

しかし転職先のT社は、そんなA社とは正反対の会社だった。
 
 
転職して1週間の出来事
 
入社初日、オフィスに赴く前、総務課長にこう言われた。
「たかむら君、常務のYESマンとなることがS部で生き残る術だよ」

常務とは一度面接でお会いしていた。
そのとき私が常務に抱いた第一印象は、気難しく独善的で、パワハラ傾向。もしこの人が直属の上司だとしたらさぞ仕事はやりづらかろう。
総務部長がそう教えてくれるということは、常務は難しい人なのだろう。
総務課長のこの言葉を聞き、私は憂鬱になった。

初めて工場へ足を踏み入れたときのことは今でも忘れない。
「この会社はヤバい」、そう直感が働いた。
生気なくピリピリとした工場の空気、それはT社の社風を物語っていた。

同じ日に入社した、たった一人の同期はそれを察してか一週間で辞めてしまった。
 
 
パワハラ上司

 

私の直属の上司はF課長。
F課長は無愛想で神経質な人だった。工場長も兼務しており、いつも忙しく、いつも怒っていた。機嫌の悪いときは従業員を怒鳴り散らし、デスクに物を投げつける。 俗に言うパワハラ上司だ。

それは私に対しても例外ではなかった。
まず、「これをやれ」とだけ言われ仕事を振られる。F課長は仕事のやり方など教えてくれないのだ。
私はとりあえず、その仕事に取り掛かる。即戦力として採用されたとはいえ、 初めてやる仕事だ。わからなところも当然出てくる。
だから考える。考えてできるところもあるが、考えてできないところも当然ある。
考えてできないところは聞きに行く。しかし聞きに行くにもF課長は忙しい。F課長の様子をうかがわなくてはならない。
ようやくF課長の手が空いた。聞きに行くと「時間がない」、その一言でロクに教えてくれない。
だから与えられた最小限のヒントを元に、もう一度考える。しかし、わからないものはわからない。
だからF課長の様子をうかがい、再び聞きに行く。すると今度は怒られる。ときには怒鳴られる。

こんなことを幾度も繰り返し、私は新しい仕事受けるのが嫌になった。
これでは到底成果が上がるはずもなかった。

 
部のおかしな慣習
 
S部にはおかしな慣習があった。

「(今日は)お終いにするか」、ボスである常務からこの一言が出ない限りS部員は帰れない。

その後ロッカーで着替え、最寄りのコンビニへ行く。そこで常務が一人一本350mlのお酒をおごってくれる。それを飲みながら駅まで全員で歩くのだ。これは毎日の日課である。

それだけではない。
週に2、3日は常務の「飲んで帰るか」が発動。この一言でS部員全員が強制的に飲み会へと参加させられる。
常務が話し、部下5名はそれをひたすら相槌打ちながら聞く。ちなみに割り勘である。
 
 
うつ病発病?!
 
入社して半年、社風、パワハラ上司、部のおかしな慣習のトリプルアタックにやられ、満足に成果を上げることができていなかった私は、病んでいた。

その頃、とうとう心身に異常をきたす。
朝の吐き気と憂鬱、ミスの増加、それと睡眠障害(ナルコレプシー)。
うつ病の典型的な症状である。

とくに睡眠障害(ナルコレプシー)には悩まされた。
ナルコレプシーとは、 日中において場所や状況を選ばず起こる強い眠気の発作を主な症状とする脳疾患(睡眠障害)である。
次の駅で降りなければならない。一駅前までは起きているし、そうわかっているのである。ところが気付くと3駅乗り過ごしている。会議でいつの間にか寝てしまっていた。そんなことがしょっちゅうだった。

どう考えてもおかしい。もしやうつ病ではないか?
そう思ってインターネットのうつ病チェックをしてみると、うつ病の可能性が高いことがわかった。
うつ病の症状を調べても、当てはまるものばかりだった。

後日、精神科を受診し、その2ヵ月後、臨床心理士によるカウンセリングも受けた。
(精神科受診とカウンセリングについては、第2回でくわしく書く)
 
 
退職
 
精神科で処方された薬を飲み、カウンセリングで溜まったストレスを吐き出したことで大分楽にはなった。
しかし私は、T社を自主退職することに決めた。
自主退職については、カウンセリングを担当していた臨床心理士と複数回話し合った末、最終的には自分で決めた。

休職や傷病手当金をもらうなどの選択肢もあった中、自主退職を決めた理由は3つある。
1つは、ストレスの根源であるT社で働くということを取り除かない限りうつ病は治らないだろう、しかしT社が変わることは望めない。そう判断したため。
2つ目は、私に「いつも通り成果を出せないのであれば去るのみ」という変なこだわりが私にあったため。
3つ目は、病状が進んでいたことから一刻も早くT社を去りたかったため。

辞める直前、お世話になった部署へ挨拶へ回ると、皆、温かかった。
総務部長からは、S部はこれまで何人も中途採用したものの、常務・F課長のパワハラに耐えきれず、皆退職してしまったこと、S部に限らず、T社はメンタルに支障をきたし休職・退職する従業員が多いことを聞かされた。K部・B部の部長からは、「S部だもんね…(あの常務とF課長のいるS部では無理はない。あなたで挨拶に来るのは4人目だ)。」

心身に異常をきたしてから半年、入社してから1年で私はT社を退職した。
最後まで、不愛想なF課長の笑った顔を見ることはなかった。

余談だが、私はT社退職から数ヵ月経った頃、外資P社で再び働いた。
T社を退職してから睡眠障害(ナルコレプシー)の症状は出ず、もしかしたらまた働けるのではと思ったのだ。
しかし、働きだすと睡眠障害(ナルコレプシー)が再発。結局、たった3ヵ月で退職することとなる。

それを期に、私は働かず闘病することを決意する。
 
 

なぜ、私はうつ病になったか?

 

T社が合わなかった、T社の労働環境が良くなかった、そのことが原因でうつ病になった。そういう体で書いてきた。
しかし、それだけでなく原因は他にもあると考えている。
それを「生物―心理―社会モデル(bio-psycho-social model)」というフレームワークを用いて明らかにして行く。

生物―心理―社会モデル(bio-psycho-social model)」とは

生物―心理―社会モデル(bio-psycho-social model)は、精神医学で用いられる考え方である。ロマンチェスター大学の精神科医であったG.エンゲルが提唱した。
生物―心理―社会モデルでは、人間は「生物的要因」「心理的要因」「社会的要因」からなり、それぞれは影響し合あっているとされている。
生物学的精神医学の診断・治療のみにこだわる視点ではなくて、人間のメンタルヘルス(心の健康)や認知行動パターン、不適応問題を以下の3つの領域から網羅的・統合的に理解していこうとする。
具体的には下表参照。

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ちなみに、主治医曰く、精神科医は以下3つを元に診断するのだという。

1.DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル(アメリカ精神医学会)やICD―10 精神および行動の障害―臨床記述と診断ガイドライン(WHO)


2.生物―心理―社会モデル(bio-psycho-social model)

3.その精神科医の見立て

 

私うつ病発症を生物―心理―社会モデルに当てはめてみる

1.元々以下の要因があった

・メランコリー親和型[心理的要因)
・アダルトチルドレン(AC)ゆえの認知の歪み(心理的要因)
・これまでの闘病生活で精神的に消耗していた可能性(心理的要因)
・T社入社前から見られたうつの傾向(生物的要因)

2.それに以下の要因が加わった
・会社・上司と合わなかった(社会的要因)
・会社の労働環境か良くなかった(社会的要因)


3.その結果
・うつ病を発症した(生物的要因)

 


※なお、「生物―心理―社会モデル(bio-psycho-social model)」については、下2つのサイトから引用させていただきました。

生物―心理―社会モデル

 

“生物―心理―社会モデル”によるメンタルヘルスや認知傾向の多面的な理解:対人援助の相補的協働 カウンセリングルーム:Es Discovery/ウェブリブログ


うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち

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新版 うつ病をなおす (講談社現代新書)

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